野鴉日記

外大から仮面浪人

蜘蛛の巣

蜘蛛の巣

梅雨時の蜘蛛の巣、見たことありますか

宝石のごとく雨の滴が散りばめられた飾り物のような、蜘蛛の巣

繊細さが眩しくて、奇跡的で、神秘的で、美しさに思わず見惚れて、息を呑んだりして。はあ

いつも僕らはあんなに蜘蛛の巣を嫌がって払いのけるのにさ

でも、蜘蛛は本来雨の日に巣なんか張らないはず

なんでかって?巣が雨水でダメになっちゃうから

それに、蜘蛛の巣は虫取り網、雨の日にはエサの虫も飛ばないしね

だから、雨がゆくりなく降る機会の多い夏にしか、こんな光景は見れない気がします、私は

そういえば、蜘蛛って随分孤独だよなあ

いつ見ても一匹しか巣にいない

いっしょうけんめいに巣をかけて、くるかどうかもわからない獲物をひたすらに待って、

一日千秋の思い、一攫千金、でも一心不乱、一意専心、一期一会、千載一遇いろんな四字熟語で形容できそう

でも私たち人間にはその苦しさはわからない

辛さも、悲しみも、寂しさも、怒りも、わからない

飢えも、憎しみも、切なさも、羨望も、計り知れない

そもそも蜘蛛はそんなの感じずに気長に待ってるのかもしれない

でも雨が降って、滴が落ちて、蜘蛛の巣がその滴に揺らされる度に蜘蛛は驚いて震えるの

びくって

あれは怖がってるような反応だった

獲物を仕留めるために頑張って作った巣を壊されたら、ひとたまりもないんだもん

衣がない彼らにとって食住は人生の全て

それを奪われちゃあ、しゃあないでしょ

子供は無垢だけど、純粋な悪魔でもある

あ!蜘蛛だ!木の枝なんか振り回して、巣を壊して

たしかに気持ち悪いかもよ、汚いかもよ

時には純粋な気持ちが、善意が、行動が、誰かを傷つけることもある

悪気がないから許されるわけではないんだ

今日も蜘蛛は待つ、一人きりで、長い昼も、短い夜も、雨の日も、晴れの日も

蜘蛛の巣のあんな細い糸一本でさえ、仏陀カンダタを地獄から救おうと試みるんだよ、それがたくさん集まってできて蜘蛛の巣って、どんだけ頑丈なんだろう

でもそう見えて、子供の無垢な行為で壊れもする、

いいチャンスなんてそうそう人生回ってこないかもね

でも、ずっと気張ってないと、そのチャンスが来た肝心の時に逃すかもしれない

むしろチャンスを逃す繰り返しで蜘蛛はより良い巣を作るのかもしれない

だから運の尽きだって諦めない、もう二度と

手つけたら投げ出さない、本当にそれをもう二度とやらないようなものではない限り

少しでも可能性があるなら、待ってみる価値はあると思う

気張って、今日も耐えます

待って、待って、待ちます

孤独だとしても。

そういうことだよね。

どうでもいいけど、そう思うとスパイダーマンってすごく西洋的な発想

おれは、好きだけどね